尼崎児童虐待死事件

2020年07月

児童相談所から一時帰宅して虐待が再開、死亡させ両親逮捕

2001年8月13日、兵庫県尼崎市大浜町の北堀運河で、水面に浮かんでいた黒色のポリ袋から、無数の虐待の痕がある全裸の男児の遺体が発見される。

尼崎市立花町の神戸市立道場小の1年生(6才)と判明。8月14日、行方をくらましていた男児の無職の母親・勢田知子(24歳)と無職の養父・勢田剛士(24歳)を逮捕した。

犯行の経緯や動機

母親は小学生時代から同級生をナイフで追い回すなどの暴力行為を行い、中学生の頃には補導されて施設に入所していた。

成人後スナックの店員として働くも、客から接客態度を注意されると逆上してアイスピックで刺そうとするなど問題行動で離転職を繰り返していた。

1994年、被害男児が最初の夫との間に生まれ、2度の離婚後に本事件での犯人の父親と結婚。この間の次男(2才)も虐待されていた。

尼崎市でも大家との家賃滞納問題や住民との駐車場トラブルなどが原因で転居を繰り返している。

長男は生まれてすぐに最初の夫の母に預けていたが、小学生になるのと同時に同居。

一説には児童手当が目的だったとされる。

長男への虐待は同居し始めてからわずか1ヵ月後、しつけに悩んだ母親が児童相談所に訪れたことで発覚。

長男は全身打撲、両鎖骨骨折の重傷であり、相談所は虐待と判断、施設で保護した。

このとき男児は父親に頭を叩かれ、母親にゴルフクラブで殴られたと証言した。次男にも暴力を振るっていたため、通園先の保育園から叩かないよう指導された。

事件直前、施設は長男を母親の家に一時帰宅することを認め、また長男への虐待が再開。

8月6日、深夜からしつけと称してトイレの前に正座させ、食事を与えず、長男が施設からもって帰った素麺を食べたいと言うと、母親は生の素麺を長男の口に押し込み、布団たたきで殴りつけた。

さらに両親は外出の際、虐待の発覚を恐れて長男の口に粘着テープを貼り、紐で身体を縛った。

8月7日、長男が逃げ出そうとすると、養父が長男の頭に回し蹴りをし、長男はうめき声を上げた後に倒れた。

しかし両親は大げさな演技だと相手にせず、医師に見せて虐待が発覚することを恐れて放置した。

同日、長男は脳内出血により死亡。両親は遺体を黒色ポリ袋に入れて尼崎市大浜町の運河に投げ捨て、逃走した。13日午後に遺体が発見され、14日、両親は逮捕された。

動機について母親は、自分も叩かれて育った、また自分に懐かなかったからと述べている。

判決とその後

母親は取り調べでも、しつけによる事故死を主張。

両親は傷害致死罪、死体遺棄罪などで起訴され、2003年2月26日、懲役8年の実刑判決が確定した。

事件後、児童養護施設が児童相談所と協議しないまま被害男児の一時帰宅を認めたことや、児童虐待防止法に定められた母親への指導を怠っていたことなどが明らかになり、関係者が処分された。