中央大学教授刺殺事件

キャンパス内で教授死亡、犯人は心神耗弱の元教え子

2009年1月14日に東京都文京区の中央大学後楽園キャンパスで理工学部の高窪統教授(45歳)が殺害された。

犯人として元教え子の山本竜太(29歳)が逮捕された。

犯行の経緯や動機

犯人の山本は高校卒業に中央大学理工学部に進学するも周囲からは孤立していた。

山本は大学院への進学を考えていたが、高窪教授の助言を得て大手食品会社に就職。

しかし食品会社を1ヶ月で退社、半年後に就職した電子機器会社も試用期間で打ち切られた。更に別の電子機器メーカーに就職するも退職。

2007年頃より山本はホームセンターやパン製造工場等のアルバイトをしながら一人暮らしを始めるが、客や同僚とのトラブルが続いていた。

2009年1月14日、山本は東京都文京区の中央大学後楽園キャンパスへ侵入。校舎1号館4階男子トイレにて、刃渡り約27センチの刈り込み鋏を分解したものを用いて背中や胸、腹を40ヶ所以上刺して高窪教授を殺害した。高窪教授は抵抗しており、両腕には防御創が見られた。

同日午前10時15分頃、高窪教授が倒れているところを生徒に発見されて病院へ搬送されるも11時半に死亡が確認された。

第一発見者の生徒による現場トイレ付近での目撃情報から山本が捜査線上に浮上。高窪教授の遺体の手の爪の間から採取された微物のDNAが山本のものと一致したため殺人罪の容疑で逮捕された。

山本は犯行動機として卒業前の忘年会で高窪教授に話しかけられず疎外されていると感じたと供述。また警察は希望していた職に就けなかったことや転職を繰り返したことを高窪教授のせいだと思い込んだことが関係していると見ている。

また、事件との関与は不明とされているが、高窪教授の自宅周辺では「殺」「呪」という電柱に描かれた落書きが7箇所も見つかっている。

判決とその後

東京地検は精神鑑定の結果、山本に責任能力があると判断して同年10月2日に起訴。

翌2010年11月24日に東京地裁で山本の裁判員裁判が開かれ、山本は起訴内容を認めた上で、やむを得なかったとの思いと申し訳ない思いの両方があると供述した。

また検察側・弁護側双方が山本は事件当時に妄想性障害によって心神耗弱状態であったと主張。心神耗弱を量刑にどれほど反映させるかが争点となった。

検察側は恩人を一方的に惨殺しており、障害を考慮しても強い非難に値するとして、心神耗弱を反映させて軽くしたうえで懲役20年を求刑。

一方の弁護側は、被告にとって妄想は現実そのものだったとして懲役6年を主張した。

12月2日、山本に懲役18年が言い渡され、双方控訴せず刑が確定した。