東京ディズニーリゾートオフィシャルホテル一家心中事件

母親の病気を苦に一家心中、最後の思い出作りにとディズニーランドへ

中日新聞 平成元年12月2日夕刊

1989年12月2日、千葉県浦安市舞浜の「シェラトン・グランデ・東京ベイホテル(現シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル)」のベランダから一家4人が飛び降り自殺した事件。

亡くなったのは岐阜県の会社員(39歳)、妻(35歳)、長男(11歳)、次男(6歳)の4人。一家が宿泊していた10階の部屋には4通の遺書と、子どもが描いた祖父の似顔絵、「東京ディズニーランド」で買ったぬいぐるみやミニカーが残されていた。

事件の経緯と詳細

一家は1989年10月18日、岐阜県の自宅から姿を消し、あちらこちらを旅した後、11月28日に、東京ディズニーリゾートオフィシャルホテル「シェラトン・グランデ・東京ベイホテル」に宿泊していた。

同ホテルは東京ディズニーランドの敷地と道を挟んだ向かい側にある公式ホテルであり、2020年現在は「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」と表記を変更している。

12月2日午前1時15分頃、同ホテルの中庭に4人が倒れているのを宿泊客が見つけ警察に通報した。

その後の捜査で、亡くなったのは岐阜県不破郡垂井町に住む会社員(39歳)、妻(35歳)、垂井町立宮代小学校に通う長男(11歳)、次男(6歳)の4人であることが判明し、また、失踪から約1か月後の11月中旬には長男から祖父に「近いうちに帰る」と電話があったこともともに判明した。

一家が宿泊していた10階の部屋には一人一通ずつ、計4通の遺書と、子どもが描いた祖父の似顔絵、東京ディズニーランドで買った、ミッキーマウスの大きなぬいぐるみやミニカーが残されていた。

一家のチェックアウト予定は同日2日となっており、一家は最後の思い出づくりにとディズニーランドを楽しんだ後、地上約20メートルの高さの10階の部屋から飛び降りたものと見られ、また、遺書によると、母親の患っていた心臓病を苦にしたものと思われる。

「おじいちゃん、おばあちゃんありがとう。妻が心臓病で、生きていても長くないので死を決意した」

父親の遺書より

「夫と○○(長男)と3人で話し合い、死を選び旅に出ることにしました。今日でこの旅も終わりです。私の体は悪くなるばかりで、生きていてもこれから先、みんなに迷惑をかけます。そう考えて決めました」

母親の遺書より

「お父さん、お母さんが苦しんでいるのを見て、僕も決めました。おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう」

長男の遺書より

なお、事件後に家族の宿泊した部屋番号を「1059(=天国)号室」だとする噂が流れたが、後の新聞報道により、虚偽だということが明らかにされている。