北九州元漁協組合長射殺事件

2020年04月

漁協利権を巡り組合長銃殺、指定暴力団の犯行

1998年2月18日に北九州市で元漁業協同組合長の男性(70歳)が銃殺された。

犯人として特定危険指定暴力団の2代目工藤連合の草野一家総裁の野村悟(67歳)と会長である田上不美夫(58歳)の2名が逮捕された。

犯行の経緯や動機

1996年に北九州市が総事業費1000億円の響灘ハブポート構想を公表し、市職員は地元漁協の漁業補償等で元組合長の弟と交渉していた。この件のキーパーソンは弟であった。

1997年1月頃、暴力団工藤会の組長は元漁協組合長の弟へ面会要求をする。同時期に組合長の長男へも漁協利権に関する要求をしていた。

市職員と元組合長の弟の間で数十回に渡る交渉が続き、1997年10月中旬に補償額について妥結した。

同年、元組合長の甥が経営する漁港事業関連会社で会社や車の窓ガラスが割られるトラブルが発生。また脅迫電話も来ていた。

1998年1から2月、組員の関係者から知人へ指紋を残さないよう盗難車を用意するよう依頼。「やばいことに使うかもしれない」と話していた。

事件の前日である1998年2月17日、実行犯が拳銃を暴発。壁に穴を開けた上に銃弾を取り出すことができず、代わりにクロスで隠していた。

同年2月18日の事件直前、実行犯は男と事件現場付近の喫茶店に立ち寄る。

同日午後7時すぎ、同市小倉北区にあるキャバレー前の路上で実行犯が組合長を銃殺した。事前に盗難していた白の乗用車で逃亡した。

事件後、組員が喫茶店に来店して実行犯が店にいた時間帯をずらすように依頼。弁護士を介して同意した。

2002年、福岡県警は殺人や銃刀法違反等で田上ら4人を逮捕、田上のみ不起訴となった。

判決とその後

2007年には元組合長の甥の会社と自宅へ発砲事件が発生した。

2008年に最高裁判所でうち2名の無期懲役と懲役20年の有罪判決が確定し、残りの1名については第1審で無罪を言い渡された。

さらに2013年12月に元組合長の弟である現組合長が銃殺され、1998年に発生した当事件に関する捜査が強化された。その息子であり元組合長の甥へも会社を閉鎖するよう脅迫状が届いた。

2014年9月11日に総裁の野村が殺人と銃刀法違反で逮捕された。同月13日に田上も逮捕された。

2019年12月2日から野村と田上の公判が開かれた。翌年2月12日に1998年の事件について証人尋問が終了。両者の指示を出したとされる証拠が出ることはなかった。