福島県・郡山市逢瀬町女性殺害事件

新たな情報発覚で犯人逮捕に一歩近づくことができるのか

2000年4月3日午後4時頃、福島県郡山市逢瀬町大久保川で渓流釣りをしていた男性によって、首と両手足を結束バンドで縛られた女性の遺体が発見された事件である。

事件の経緯と詳細

発見した男性は、すぐに警察に連絡し捜査が開始された。発見された川の幅は5m、水深約40cmで水量は少なく、上流から流れてきた可能性は低いと見られ、発見された場所で遺棄されたのではないかと考えられた。発見現場で争ったような形跡は無く、遺体は額に鈍器で殴られた跡と体の数カ所を殴られるなど暴行を受けた跡が残っていた。

司法解剖の結果、首を締められて殺されたことによる窒息死と判明し、死後2ヶ月近く経過していることがわかり、人物が特定された。

遺体は、郡山市大槻町に住み、アルバイトで生計を立てていた山岸亜世美さん(当時17歳)だった。当初警察は、彼女の知り合いによるものと想定し、犯人逮捕は時間の問題とされていたが、彼女の交友関係が予想以上に広かった事から捜査は難航した。

これまで捜査員3万人以上、聞き込み約2万8000世帯に渡ったが、発生してから20年経過し2020年現在、未だ犯人は捕まっておらず、事件解決には至っていない。

彼女が発見される約3ヶ月前の2000年1月18日の夕方、彼女は家族に「知人に会う、ちょっと出かけてくる」等と言い残し、『知人男性A』が運転する車で出かけた。

そして翌19日、彼女がアルバイトをしているスナック近くの郡山市柳町の路上に『携帯電話』が落ちているのを通行人が発見。その携帯は道路に投げ付けられたように一部が破損しており、この『携帯』が彼女のものであることが判明。

前日から、彼女が家に戻ることはなく、『携帯』は破損したまま家族の元へ。この状況から、彼女の安否を心配した家族は同25日に警察に捜索願を提出することになった。

その後、警察が捜索を進める中でこれらの3点のことがわかった。

判明した不審な事実

1. 彼女の行方がわからなくなる約半月前程に、年上らしい男性から自宅に「娘さんを郡山駅で保護した」という不審電話が数回あった。

2. 失踪する数日前、友人に「10万円が必要だ」と話していた。

3. 彼女はスナックのアルバイトで生計を立てていたが、それとは別に、コンパニオン等の夜の仕事をしており、それは家族には隠していた。

警察は懸命に捜索を続け、彼女の友人らにも何か知っていないか確認したが、誰一人彼女の行方について知る人はいなかった。

警察は彼女が『結束バンド』が使用されていたことを『特殊』であると判断し、彼女と交流のあった建築関係者数名から事情を聞いていたが、この建築関係者の中から事件に関係のある人物を挙げられることはなく捜査は振り出しに戻ってしまった。

疑問点

これらの捜査状況から3つの疑問点が浮かび上がった。

1.知人男性Aは彼女のその後について何か知っているのではないか?

福島県大槻町という土地柄、『車がなければ生活できない』と言っても過言ではなく、18歳になれば余程のことがない限り免許を取り、車を持つだろうと考えられる。その事から、彼女の友人もみな車を持っている状況だった。

また当時、車を持たない女子は送り迎えをしてくれる人がどれだけいるかがステータスだった。つまり、このA氏が彼女を車に乗せていたとしても、待ち合わせ場所までは送ったが、本件に関与していないということは十分にあり得る。

しかしながら、A氏は彼女と恋人までは行かないものの、とても仲の良い間柄だったそうである。その相手を自分の知らない誰かに送り渡すとしたら、どこに送り、どんな車が来て、どんな人だったのか、この辺りがわかれば、何か重要な手がかりが掴める可能性は高いと考えられる。

2.不審な電話の正体が誰なのか?

この電話こそが本件を追求する上で非常に重要な情報となっている。彼女は当時、スナックのアルバイトの他にもいくつかの仕事を掛け持ちして働いていた。そのうちの一つが、『ヤクザ』が経営していると噂される店舗で、彼女はこの店をばっくれてしまう。この仕事をばっくれた時期と不審電話があった時期が完全に一致している。

このことから、彼女の自宅に「彼女を保護した」という嘘の電話をし、彼女の家族から、「今家にいますが」という言質を狙った電話だったのではないかと推測され、この電話をした人物こそが、本件をよく知る人物ではないかとされている。そして、その電話をかけたと思われている人物は、彼女がばっくれた店の関係者Bという男で、『ヤクザ』との繋がりもあった。

3.彼女はなぜ10万円が必要だったのか

以上のように考えると、彼女の行方がわからなくなる数日前に話していた10万円は、この店から退職するための賠償金として請求されたのではないかと推測される。

発覚した新事実

発見現場は大きな石がゴロゴロ転がっていて、車出なければ立ち入れず、それなのにUターンができない場所だったため、地元住民も足を踏み入れることが少ない場所だった。しかし、鮎釣りが解禁されたことで釣り人が来るようになり、間もなく彼女が発見されることになった。

実はこの彼女が見つかった場所は、不良がたむろする場所であり、シンナーを吸ったり、異性間交流会などが繰り広げられたりしており、不良と『ヤクザ』の繋がりがないとは言い切れない。

事実として、郡山市では事件の約2年後、2002年に不良少年ら3人による強姦事件も発生している。

また、2020年5月15日には、郡山市横塚の逢瀬川で、20~30代の男性とみられる遺体が発見されている。

男性は服を着ている状態で目立った外傷はなかたものの、口をテープでふさがれた状態で発見されました。

発見場所はJR郡山駅から北東に約1kmにある橋の付近、ということなので、下の地図のあたりで発見されたものと思われる。

こちらも、犯人逮捕には至っておらず、連続殺人である可能性が残されている。

本件(郡山市逢瀬町女性殺害事件)は既に事件発生から20年以上が経ち、残念ながら殺人罪以外は既に時効が成立しているので、殺人罪で立件するには明確な殺意があったことを証明しなければならない。現在の状況から、犯人がB氏である可能性は高いが、そうでない可能性も十分に残っている。

当時、彼女はナンパスポットと呼ばれる場所に現れる姿を何人かが目撃しており、このことから、交友関係が予想以上に広い背景で、ナンパされトラブルに巻き込まれた可能性も否定できない。

父親の思い

2020年4月の取材で、父親の三郎さん(70歳)は「早く自首してほしい。なぜあの子が殺されなくてはならなかったのか知りたい。」と語っている。

時間が流れ、三郎さんは毎日、次女の孫を送り迎えしているが、彼女が生きていれば40歳近くなっているはずだったので、温かい過程を築くことができかもしれないと悔やんでいる。

さらに、「正義感が強い子だったので、誰かを庇ったりして、知らない間に恨みを買ったかもしれない」とも語っている。