高知県白バイ衝突死事故

スクールバスと白バイが衝突し、白バイ警官が亡くなった事故

高知県白バイ衝突死事故とは、2006年3月3日、午後2時30分頃高知県高知市で起きた事件。

道路左側のレストラン駐車場から出てきたスクールバスが、右折横断進入しようとしたところ、高知県警の白バイとスクールバスが衝突し、白バイ警官が亡くなった事故である。

一審の高知地裁では、スクールバスの運転手に対し禁固1年4ヶ月の実刑判決が下された。

しかし、その後ブレーキ痕をめぐる数々の疑問が噴出。

バスに乗っていた中学生らは当時「停止していたと思います」「中央分離帯でずっと待っていて、そろそろいけるかなって思っていたところに白バイが当たった」と証言しており、さらに、事故の時バスのすぐ後ろの車に乗っていた中学校の品川元校長は「バスは止まっていました。私の目の前で見えました」と証言した。

集まった数々の証言にも、裁判所の判断は「第三者であるということだけで、その供述が信用できるわけではない」。また裁判官が信用したのは、事故の反対車線を走行中にスクールバス、白バイを通りすがりに目撃したという、白バイ隊員の証言だった。

事件の経緯

2006年3月3日、午後2時30分頃高知県高知市(当時は吾川郡春野町)で、道路左側のレストラン駐車場から出てきたスクールバスが、国道56号の交差点に道路外から右折横断進入しようとしたところ、高知県警察交通機動隊の警官が運転していた白バイとスクールバスが衝突した。

スクールバスを運転していた運転手は、業務上過失致傷罪の容疑で逮捕された。

白バイに乗っていた警官(当時26歳)は、胸部大動脈破裂し、重症で病院に搬送された。

しかし、日付が変わらないうちに白バイに乗っていた警官が亡くなったことで、運転手は業務上過失致死罪容疑に切り替わった。

加えて、スクールバス運転手とバスの乗客(当時中学三年生22人とその教員3人)にけが人はいなかった。

事件のその後

検察は、事故が起きた当時、スクールバスを運転していた運転手が安全確認不十分のまま道路に進入したことによって事故が起きたとして逮捕・起訴された。

しかし、運転手はバスは停車しており、複数証人もいるとして無罪(冤罪)を主張した。

また、運転手の弁護士とメディアが、交通事故鑑定人による検証実験や、目撃者取材などを行った結果、「バスは動いており、急ブレーキをかけた」という検察側の主張には矛盾があり、提出された証拠には偽造・捏造がある可能性が高く、事件当時白バイの違法な高速走行訓練が行われていたことから、事故は自損事故であると運転手側は指摘した。

一方、高知県警は記者会見などで、証拠捏造や、白バイの違法な高速走行の訓練などを否定し、白バイ側の過失を否定した。

そして、この事故で亡くなった巡査長はこの事故で二階級特進し、警部補に昇格した。

判決

2007年6月7日、高知県地方裁判所が禁錮1年4か月の実刑判決を運転手に下した。それに対して、検察の証拠には、捏造があるとして運転手の弁護士側は控訴した。

2007年10月4日、高松高等裁判所で、刑事裁判の控訴審の審理を開始した。弁護士側の証拠、証人は却下され、即日結審した。

2008年8月20日、一審通り禁錮1年4か月の刑が確定した。

運転手は、2008年10月23日高知地方検察庁に出頭し、高知刑務所での数週間の収監を経て、2008年11月からは加古川刑務所(交通刑務所)に収監された。

身元引受人がいるにも関わらず、仮釈放が認められなかったため、2009年1月満期での出所となった。

運転手出所とその後

2010年1月23日、1年4か月の禁錮を終え、加古川刑務所を運転手が満期出した。

そして、2010年10月18日、運転手が高知地裁に再審請求を行い、2011年8月、刑事裁判で当時証言をした白バイ隊員を偽証罪で告訴した。

さらに、2012年11月、運転手が「証拠を捏造された」として、高知県警などに損害賠償を求めた起訴で、最高裁第二小法廷は原告側の上告を退ける決定を下した。

2014年12月16日 – 高知地裁(武田義徳裁判長)が再審請求を棄却し、2月19日 、運転手が高松高裁に、即時抗告申し込み、受理された。

2016年4月14日 、日弁連人権擁護委員会から追加資料の提出要請があり、再審請求審に提出した資料を運転手側に送付した。

そして、2016年10月18日、 高松高裁は、高知白バイ事件即時抗告申立で棄却決定を行った。

2016年10月24日、最高裁に、平成28年10月18日高松高等裁判所がした即時抗告棄却決定に対して、特別抗告申立を運転手側が行った。

2018年5月7日、再審請求事件について、2016年10月18日、高松高等裁判所がした即時抗告棄却決定に対して、特別抗告の申立てを行った件について、最高裁判所第三小法廷は、本件抗告を棄却した。

告発

バス運転手は2010年2月に出所も改めて無実を訴え、何者かによりスリップ痕を偽装されたとする告発を行った。

この告発について、2009年1月に高知検察審査会が不起訴不当との決議を行ったことを受け、高知地方検察庁により再捜査が行われたが、2009年3月に不起訴処分となった。

小野正弘高知地方検察庁次席検事から、「必要な捜査をした結果、バスが急ブレーキを踏んだことでついたスリップ痕だと判断した」とのコメントが出された。

また、裁判所側も「証拠の捏造が出来るわけがない」の一点張りで、再審請求に応じる構えはない。

再審請求には新規かつ明白な証拠があればという条件がある。長い歳月が経ち、写真解析などの技術も進化している中、弁護側はブレーキ痕が捏造されたのではないかという様々な鑑定結果を出している。