江東マンション神隠し殺人事件

2020年05月

「強姦して、性奴隷にしよう」秋葉原通り魔事件の2週間前に発生した『神隠し事件』

2008年4月18日夜、会社員女性の東城瑠理香さんが東京都江東区潮見二丁目の自宅マンションから姿を消し、姉から捜索願いが出された。

マンションに設置された監視カメラの記録に東城さんが外出した形跡がなかったことから、メディアは「神隠し事件」として報じた。

警視庁は、マンション住民全員から事情聴取や指紋採取、家宅捜索を行った。

同年5月25日、東城さん宅の隣室に住む派遣社員の男、星島貴徳を住居侵入容疑で逮捕、死体損壊や遺棄、殺人容疑で再逮捕した。

被疑者の逮捕から2週間後に秋葉原通り魔事件が発生し、報道は小さくなった。

犯行の経緯や動機

監視カメラ付き、オートロックのマンションで

2008年2月、派遣社員の星島貴徳が現場の江東区のマンション9階の918号室に入居。

該当マンションは監視カメラやオートロックなど防犯設備が多く設置されている物件で、被害者女性らがこの物件に決めた理由の一つでもあった。

翌月、星島の部屋から二部屋隣の916号室に東城瑠理香さんとその姉が引っ越してきた。

マンションは監視カメラやオートロックが設置されていたものの、「もっと多く設置すべきだ」と、たびたび訴えがあったという。

「強姦して、性奴隷にしよう」

星島は自分と同じ階に女性が転居してきたことを知り、「強姦して、性奴隷にしよう」と計画。

そして、2008年4月18日夜、被疑者は性犯罪目的で東城さんの帰宅を待ち伏せ、帰宅直後に東城さん宅へ侵入。騒がれたため、頭部を殴打し自室へ連れ帰って縛りあげた。

被害者女性を拉致したものの、星島は激しい抵抗にあったことと自分が負わせた傷を見たことに動揺し、強姦を断念。

その後、帰宅した東城さんの姉が室内の異変を発見。

玄関の鍵は開いており、妹が履いていたブーツやお弁当袋が床に落ちている状態で、また、同日19時21分に妹から「マンションについた」というメールを受け取っていたことから不審に思い、警察に通報。

行方の分からなくなっていた東城さんを探して、付近の住民を中心として、住民全員に聞き込みを行っていた警察は、当然、星島の部屋にも訪れていた。

この時、東城さんはまだ生きており、猿ぐつわをされた状態で、部屋に監禁された状態だった。

しかし、警察はそのことに気づくことができず、星島から事情を聞くにとどまった。

このことで警察の捜査開始を知った星島は、事件の発覚を恐れて東城さんの首を包丁で刺し殺害した。

「空の段ボールですが、他のも確認しますか?」

殺害後、星島は東城さんの遺体を包丁やノコギリで切断。ダンボール箱・ベッドの下・冷蔵庫の中に隠したり、少しずつゴミに出したり、トイレに流したりして遺体を隠蔽しようとした。

翌日、警察がマンション全室に任意の家宅捜索を行った際には、星島はわざと協力的な振る舞いを見せ、積まれていた段ボールのうちの一つを開け「空の段ボールですが、他のも確認しますか?」と申し出た。

星島が協力的であったことから、警察は「そちらは大丈夫です」と断ったことで、遺体が入った段ボール箱は見逃されることとなった。

同年5月1日、トイレに流す、ゴミ捨て場に捨てるなどして、遺体の全てを処理した。

その後の捜査により、東城さん宅に加害者のものと思われる指紋を発見。

星島を含むマンション住民全員から任意で指紋を採取するが、星島は薬品を使用して10指とも指紋が読み取れないようにしていた。

事件から1ヶ月後、再び警察が星島の指紋を採取したところ、東城さんの部屋で発見された指紋と一致、逮捕となった。

その後、下水管から東城さんの遺体の破片や、星島の部屋から東城さんの血痕や財布、免許証の切断された一部などが発見された。

岡島貴徳について

岡山県出身で、地元の県立高校を卒業後は大手ゲーム会社に就職。

しかし、わずか4年で退職している。

その後は、派遣社員としてコンピューター会社に勤務しており、逮捕当時の月収は50万円ほどあった。

お金には困っていない星島であったが、星島の両足の太ももにはやけどの跡があり、これがコンプレックスとなっており、「自分は普通の女性とは同等に付き合えない」と考えていた。

本事件については、星島と被害者女性との面識は一切なく、自らのコンプレックスと歪んだ性的嗜好から若い女性を無差別に狙っての犯行であった。

判決とその後

2009年1月13日、裁判員裁判として開かれた初公判で星島は起訴事実を認め、事件の全貌が明らかになった。

ちなみに、起訴内容は「殺人、死体損壊、死体遺棄、住居侵入、猥褻(わいせつ)略取の5つの容疑。

26日、検察は身勝手な動機や隠滅工作、物証が提示されるまで犯行を否認したことから、死刑を求刑。

弁護側は前科がないことや逮捕後は「犯行供述や謝罪をしている」ことや、「被害者女性を何度も刺したりしていないし、強姦はしなかった」ことを主張し、死刑回避を求めた。

翌月18日、東京地方裁判所・平出喜一裁判長は「性奴隷にしようと拉致し、事件の発覚を防ぐには被害者の存在自体を消してしまうしかないと考えた自己中心的かつ戦慄すらおぼえる卑劣な犯行で情状酌量の余地はない」としながらも、「殺害は突発的なもので、執拗な攻撃を加えたものではなく、残虐極まりないとまではいえず、罪を悔いており、死刑は重すぎる」として無期懲役が言い渡された。

無期懲役って聞くと「ずっと刑務所から出られない」って思う人もいるかもしれないけど、それは「終身刑」と混同しているよ。無期懲役は「刑期を定めない懲役刑」だから、稀なケースではあるけど、30年ほどしたら「外」へ出られる可能性があるよ。ちなみに府知事もツイートしてる。

また、第一審の裁判員裁判で下された死刑判決が破棄され、無期懲役となった。ちなみに日本の無期懲役は、終身刑と異なり、一生刑務所ではなく、出所してくるのが通例。なんの為の裁判員裁判か。裁判員裁判の法改正をして、もっと裁判員裁判が尊重される制度に改めるべきだ。

大阪府知事・吉村洋文氏のTweetより引用(2019年12月5日)

判決では、星島被告が昨年4月18日、強姦目的で同じマンションの2部屋隣に住む東城瑠理香さん宅に侵入した後、自宅に連れ込んで殺害し、遺体を細かく切断してトイレから下水道に流すなどして捨てたとする起訴事実をすべて認定されている。

平出裁判長は、検察側が切断されて捨てられた女性の肉片を大型ディスプレーに映し出すなどして残虐性と社会に与えた衝撃を積極的に立証したことを踏まえ、「死刑の選択も考えるべき事案だ」と指摘し、量刑を検討した。

まず、動機について、女性を自分の思い通りにできる「性奴隷」にするゆがんだ性欲のためで、犯罪の発覚をおそれて殺害して死体を損壊したのは「身勝手で自己中心的だ」と厳しく非難した。

さらに、遺体を解体して捨てた行為を「被害者を廃棄すべき物のごとく扱ったもの」と言及。「死者の人格、遺族の心情を踏みにじるきわめて卑劣な犯行だ」と述べた。

一方で、過去の最高裁判例を踏まえて「被害者が1人の場合は相当強度の悪質性が認められることが必要」と指摘。包丁で首を刺した殺害方法については「執拗なものではなく、冷酷ではあるが残虐きわまりないとまではいえない」とした。さらに、強姦やわいせつ行為はなく、殺害や死体損壊などには計画性が認められない、といった被告に有利な事情を挙げた。

公判では遺族が死刑を強く求め、星島被告も「死んでおわびしたい」と供述していた。平出裁判長は、被告が公判で反省の態度を示していることなどから「終生の間、被害者の冥福を祈らせ、贖罪にあたらせることが相当だ」と結論づけた。

同月、検察は当然これに控訴。控訴趣意書で「一審判決は遺体を細かく切断して下水に流すなど犯行態様が残虐極まりないことや、模倣性の高さを正しく評価していない。被害者が1人でも死刑を選択すべきで、無期懲役は著しく軽く、不当だ」と主張した。

6月11日、第1回控訴審が東京高等裁判所(山崎学裁判長)で開かれたが、岡島は「死刑になりたい」として、出廷しなかった。

公判では、検察側の証人として東城さんの母親と姉が出廷し、姉は「今も悪い夢の中で生きている気がする。瑠理香なしで今後も過ごすかと思うと辛い。一審判決は不公平で、死刑を求めます」と訴えたが、高裁は一審判決を支持。検察は改めて死刑を求めて控訴した。

9月10日、東京高裁は1審の無期判決を支持し、結審。

両者とも上告せず、同月25日、無期懲役が確定した。

「女性宅の窓が動いた」と話題に

空撮ヘリによる映像だが、動画の1分8秒あたりで「窓が開く」様子が確認できる。

当時、現場検証は既に行われた後であり、「部屋には誰もいなかったはずだ」と思われることから、関心が寄せられた。

確かに、カーテンは動いていないのに、窓枠だけが不自然に動いているように見えないこともないが…。