倉敷・小6幼稚園児殺害事件

「女の子の体が見たかった」事件発覚を恐れ殺害

1979年10月27日、岡山県倉敷市の琴浦東幼稚園・角良子さん(6歳)が、良子さんの自宅から150mほど離れたアパートの空き部屋から、遺体で発見された。

殺害したのは良子さんの自宅から50mほどしか離れていない近所に住む小学6年生の少年A(当時11歳)だった。

少年Aは、良子さんの捜索に参加しており、翌日には普段通り学校へ登校していた。

当初は「証拠を出せ」と犯行を否認していたが、その後、現場に残された靴の跡や目撃証言などが判明し、一転、犯行を自供。

少年Aは以前にも、近所の男の子に「オモチャをやるから」と空地に連れ出し、頭からビニール袋をかぶせたうえ、首を絞めて失神させるという事件も起こしていた。

事件の経緯と動機

良子さんの通っていた琴浦東幼稚園

1979年10月26日、岡山県倉敷市の衣料品行商・角豊さん(当時46歳)の長女・良子さん(6歳)は自宅近くの広場で小学生4、5人で砂遊びをして遊んでいた。

日も暮れかけてきたころ、1人、また1人と友達が帰って行き、良子さんは小学6年生の少年A(当時11歳)と2人きりになった。そのうち、少年Aが「釣り糸を探しに行こう」と良子ちゃんを連れ出した。

少年Aは以前に何度もいったことがあるアパートの空き部屋に良子さんを連れこみ、裸にしてイタズラをしようとしたが、泣かれたため、脱がしたブラウスで良子ちゃんの首を絞めて殺害した。殺害後、少年Aはブラウスを良子さんの上半身にかけ、その場を立ち去った。

同26日の午後7時頃、良子さんが自宅に帰らないため、両親は捜索願を出した。夜通し捜索が行われたが良子さんは見つからず、翌朝、地元の人や警察官など100人が動員され、引き続き捜索が行われた。

27日午前10時20分、が、自宅から150mほど離れたアパートの空き部屋の押し入れの中からうつぶせになって亡くなっているのが発見された。

その後の聞きこみ捜査で浮上してきたのは、良子さんの自宅から50mほどしか離れていない近所に住む小学6年生の少年Aだった。

少年Aは犯行を行った26日当日、良子さんの捜索に何食わぬ顔で加わっていた。そして、行方不明の翌27日には、少年Aは普段通りに登校していた。

同日午後2時頃、児島署に身柄を移され、事情を聞かれたが、Aは当初否認して、「僕は帰って宿題をしないといけない」「証拠を出せ」などと言った。

しかし、「アパートに少年Aと同じ靴の足跡があった」ことや、「2人が歩いているのを見た人がいた」ことなどの証拠が明らかにされたことで、ようやく、少年Aは自供を始めた。

殺害動機について、少年Aは「女の子の体が見たかったので空き部屋に連れこんだ。服を脱がせて裸にしたら、「お母ちゃんに言う」と言って泣き出したため、首をしめて殺した」と供述している。

少年Aについて

倉敷市内に住む小学6年生の少年Aは、両親と姉(当時13歳)、弟(当時10歳)の5人家族であった。

Aには難聴があり、勉強は苦手だったが、かといって同じくらい歳の子が好きな漫画本にも興味を示さなかったという。冷たい印象があった一方で、自分より小さい子どもに熱心に自転車の乗り方を教えていたところを近所の人が見ており、優しい少年であったとする報道もなされた。

父親は傷害事件を繰り返しており、また、少年A自身も事件の2年前に店舗荒らしで、さらに、事件のあった年にも車上荒らしで児島署に2度補導されていた。

また、1979年4月には、少年Aは近所の男の子に「オモチャをやるから」と空地に連れ出し、頭からビニール袋をかぶせた上、首を絞めて失神させるという事件も起こしていた。

前後に発生した多くの少年犯罪

この年を前後して、社会で大きな注目を浴びた少年犯罪が立て続けに起こっている。

昭和50年には、鹿児島県長島で男児2人(5歳と3歳)と女児(2歳)が、産まれたばかりの赤ちゃんを包丁でメッタ刺しにするという事件が発生。

また、昭和52年には、福島県須賀川市で、小学6年生の男児(当時12歳)が、同じ学校に通う2年生の女児(当時8歳)を薮に連れ込んで強姦しようとしたが、抵抗されたためズボンのベルトで首を絞めて殺害した事件が起きている。

そして、昭和54年には、岡山県倉敷市で本事件が発生。

同年には、東京上野で小学2年生の女児が、同じ学校の4年生の女生徒に13階建てのマンションの屋上から突き落とされて死亡した「上野小2女児殺害事件」も発生している。

また、翌55年には、栃木県大田原市で、小学1年生の男児(当時7歳)が近所に住む女児(当時3歳)をいたずら目的でポンプ小屋に連れ込んだが、「お母さんに言ってやる」と言われたことから、告げ口を恐れ、近くにあった棒で暴行を加えた上、小屋脇の井戸に突き落として溺死させた事件が発生している。