京都アニメーション放火殺人事件

2020年05月

「小説を盗まれた」ガソリンを撒いて放火、36名が死亡した惨事。

京都アニメーション放火殺人事件は、2019年(令和元年)7月18日に京都府京都市伏見区で発生した放火殺人事件。

アニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオに男が侵入してガソリンを撒いて放火したことで、同社社員の69人が被害に遭い、うち36人が死亡、被疑者を含む34人が負傷した。

事件の詳細

概要

2019年(令和元年)7月18日の午前10時半ごろ、伏見区桃山町因幡の京都アニメーション第1スタジオに当時41歳の男が侵入、ガソリンを建物1階や従業員などにかけライターで着火した。それにより火災、爆発が生じた。

当時スタジオには役員、従業員あわせて70人がいたが、事件現場で33人の死亡が確認され、36人が怪我を負い病院に搬送された。その後搬送先の病院で3人が死亡し、死者は36人、負傷者は33人となった。怪我を負わなかったのは1人に留まる。

第1スタジオの建物は全焼し、その場にあった紙の作画や資料は焼失した。しかしデジタル化されていた原画などを収めたサーバは焼損を免れたため、それらのデータは回収された。

火を放ったとみられる男はその後、スタジオから100メートルほど離れた場所で警察官に身柄を確保された。

男は全身に火傷を負い、京都市内の病院に搬送されたが、意識不明の重篤な状況が続いた。

事件からおよそ3週間が経った8月9日には「痛い」といった声をあげたり首を振ったりするといった反応を見せるようになり、また、9月5日には命の危険がある重篤な状態を脱して快方に向かっていると報道された。

11月、京都府警による病室での任意の事情聴取に対し、「小説を盗まれたのでやった」「一番たくさんの人がいるスタジオを狙った」と話したという。

2020年5月27日、京都府警は、被疑者は発生直後に現場近くで取り押さえられ、やけどの入院治療が続いていた容疑者について、府警は取り調べに耐えられるまでに回復したと判断して、さいたま市見沼区の無職・青葉真司容疑者(42歳)を殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕した。

事件の推移

事件前

火災発生前の第一スタジオ(2015年5月5日撮影)

京都アニメーションには数年前から作品への批判や社員への殺害予告が相次いでおり、その都度警察や弁護士へ相談し、対処していたという。しかし今回の事件との関係については分かっていないと捜査関係者は話している。

2018年11月には、社員約70人で避難訓練などを実施している。

事件前日と当日に、確保された男によく似た風貌の赤いシャツの男が現場から南西に500メートルほど離れた公園でベンチに横になっているのを目撃されていた。また、事件発生直前の18日午前10時ごろ、公園から北に100メートルほど離れたセルフ式ガソリンスタンドで赤いシャツの男が「発電機に使う」として40リットルのガソリンを購入していた。

事件当日、現場となった第1スタジオではNHKによる取材が予定されており、京都アニメーションの八田英明社長は午前10時過ぎに予定されていたと話しており、11時から取材が予定されていたとする記事もある。

事件発生

2019年7月18日の午前10時半ごろ、京都アニメーション第1スタジオ(地上3階建て、延べ面積691.02 m2)に男が侵入し、バケツ2個で約10リットルから15リットル前後のガソリンを建物1階や従業員などにかけライターで着火した後、爆発を伴う火災(爆燃現象)が発生した。ガソリンは事件直前に付近のガソリンスタンドから20リットルサイズの携行缶2個へ給油する形で購入し、付近で携行缶からバケツに移し替えて台車で運び込んだと見られる。また、現場からは包丁数本やハンマーの入ったリュックサックが発見された。

目撃情報によると、男は建物に入った直後に火をつけながら「死ね」と叫んだという。2階で働いていた社員の証言によると、1階から男がもめる声と女性数人の悲鳴と大きな音が聞こえ、1階から上がってきた男性が「火事だ」と叫んだ。2階の防災ベルを鳴らしてから15秒ほどして、正面玄関脇の螺旋階段から黒い煙が上がってきて、瞬く間に視界が閉ざされたという。

男は現場から逃走したが、スタジオから100メートル離れた京阪電鉄六地蔵駅付近で京都府警察により身柄を確保された。確保時には赤いTシャツに青いジーンズを着用していた。このとき、警察の問いかけに対し「ガソリンを撒いて多目的ライターで火をつけた」と供述している。また、怒った様子で「パクりやがって」と大声で叫ぶ姿が地域住民に目撃されており、他にも「小説を盗んだからやった。社長を呼べ」「(大丈夫か、立てるか。と声をかけた警官に対して)触るな。おれの作品をパクりやがったんだ。社長を呼べ。社長に話がある」などと叫んでいたという。

この時、前述の取材のために現場に向かっていたNHKの吉田達弘ディレクターのチームによって、火を付けた男が確保されている様子が動画で撮影された。

事件発生後

10時35分に京都市消防局が火災を覚知、消防車・救急車49台を出動させ消火・救急活動を行った。15時19分、火災の鎮圧を宣言した。翌19日6時20分頃に、約20時間に及んだ火災は鎮火した。

総務省消防庁は事態を受け、同日12時30分に本庁第1次応急態勢に移行し、災害対策室を設置した。17時に火災原因の究明を目的として消防庁職員3人・消防研究センター職員2人の現場への派遣を決定した。

救助活動によって発見された遺体は京都府警察学校に安置された[39]。

死者は当初33名と発表されたが、7月19日に30代男性、7月27日に20代男性、10月4日に20代女性が死亡し、10月5日時点で36名となった。

確保された男は、警察と消防が駆けつけた当初は叫ぶなど意識はあったものの、全身に重い火傷を負っており京都市内の病院に搬送された。病院搬送後は意識不明で重篤な状態が続き、7月20日により専門的な治療が可能な大阪府内の病院に移された。皮膚の移植手術が行われるなどし、7月27日には呼びかけに時折まばたきで反応を見せるようになり、8月9日には「痛い」といった声をあげたり首を振ったりするといった反応を見せるようになったと、9月5日には命の危険がある重篤な状態を脱して快方に向かっていると報道された。

11月には、繰り返し行われた皮膚移植手術によってさらに回復し、再び京都市内の病院へ戻っていた。

逮捕され、ストレッチャーに乗せられて伏見署に入る青葉真司容疑者(2020/5/27/8:09)

2020年5月27日、京都府警は、被疑者は発生直後に現場近くで取り押さえられ、やけどの入院治療が続いていた容疑者について、府警は取り調べに耐えられるまでに回復したと判断して、さいたま市見沼区の無職・青葉真司容疑者(42歳)を殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕した。

2020年5月27日、今も自ら起き上がったり歩いたりはできないが、ある程度の会話ができる状態となり、春ごろから容体も安定していることから、府警は複数の医師から「勾留に耐えられる」との見解を得たという。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が京都府で5月21日に解除されたことなど、社会情勢も総合的に考慮し、逮捕に踏み切ったとのことであった。

府警は同27日、病室で逮捕状を執行。青葉容疑者は捜査本部のある伏見署に身柄を移送された。

被害状況

従業員、役員など

京都府警察などによると、第1スタジオには従業員70人がいたが、そのうち69人が被害を受けた。

事件当日に33人の死亡が現場で確認された。また、1階で負傷して病院に搬送された30代男性社員1名が、事件翌日の7月19日夜に死亡した。その後、1階で負傷して正面玄関で救助された20代男性社員1名が7月27日17時53分に大阪府内の病院で死亡した。更に、1階で負傷して正面玄関で救助され、火傷で入院治療中だった20代女性1人が、感染症に起因する敗血症性ショックにより10月4日20時20分に死亡した。

なかには「AKIRA」などで原画を務めた木上益治、「らき☆すた」などで監督を務めた武本康弘、「聲の形」などでキャラクターデザイン・総作画監督を手がけた西屋太志、「涼宮ハルヒの憂鬱」などでキャラクターデザイン・総作画監督を手がけた池田晶子らも含まれていた。

死因は22人が焼死(1階: 2人/2階: 8人/3階: 12人)、5人が一酸化炭素中毒(3階: 5人)、5人が窒息(2階: 2人/3階: 3人)、全身火傷が2人(1階: 2人)、敗血症性ショックが1人(1階: 1人)、残る1人(2階: 1人)は判明しなかった。死者の性別は女性22人、男性14人で、年齢は20代17人、30代11人、40代7人、60代1人だった。

死者の内20人は3階から屋上へ上る十数段の階段で折り重なるように倒れた状態で発見され、1階で4人、2階で11人が見つかった。一方、3階の生存者は3階ベランダまたは内階段から2階ベランダに移って2階の生存者と共に飛び降りるか、近隣住民の助けにより梯子を伝って避難した。

負傷者は10月5日時点で、5人の女性が入院中。9月6日時点で(10月4日に死亡した社員を含み)、命の危険がある重篤な状態の人が3人、重体1人、重傷25人、軽傷5人(被疑者を除く)。年齢は21歳から53歳まで、20代男性4人、20代女性11人、30代男性7人、30代女性4人、40代男性2人、40代女性4人、50代男性2人。既に復帰した社員がいる一方で、心的外傷により復帰が困難で、退職を希望する社員もいると報じられている。

警察庁によれば「放火事件としては平成期以降最多の死者数」であるという。また、『読売新聞』では更に時期の範囲を広げ、殺人事件として「戦後でも最も死者が多いとみられる」と報じている。なお、この事件による死者数は、戦前の昭和13年(1938年)に発生した津山事件の死者30人をも上回っている。

建物

全焼した第1スタジオ、入口付近の様子(2019年7月21日撮影)

第1スタジオの建物は全焼した。

京都市消防局は市議会において同社の防火対策は適切だったと説明した。 消防法上、事業所扱いとなる第1スタジオに設置が義務付けられていたのは消火器と非常警報設備のみで、避難階段や避難器具、スプリンクラーなどの消火設備は設置が義務付けられておらず、実際に設置されていなかった。

また、1階から3階にかけて吹き抜けとなっている螺旋階段があり、2007年の完成検査で京都市が防煙壁の設置を指導し、天井からつり下がる長さ50センチメートルの防煙壁が設置されていた。しかし、玄関と螺旋階段の間の焼け方が特に激しかったことから螺旋階段の脇で火が放たれた可能性が高く、消防局は煙を食い止めることは難しかったとみている。

京都アニメーションの社長八田英明は近隣住民への配慮から建物を撤去したいと述べた上で、「思いとしては、できれば公園にして碑を作りたい」と述べた。

資料・データ

第1スタジオに保管されていた過去の作画や資料などは、当初はすべて焼失したと思われていた。しかしその後、社外のイベント向けに貸し出されていた一部の資料が被害を免れていたほか、建物1階に設置されていたサーバールームは焼損を免れていたことが判明し、デジタル化された原画などのデータについては欠損なく回収に成功したと発表された。

青葉真司について

経歴

被疑者の男は1978年、3人兄妹の次男(第2子)として生まれ、埼玉県浦和市緑区で育つ。中学卒業後は、浦和区の定時制高校に通いつつ、埼玉県文書課の非常勤職員として3年間勤務した。高校卒業後は、後述の強盗事件まで新聞販売店などの職を転々とする。21歳の時に父親が自殺し、一家は離散した。2006年には下着の窃盗容疑で逮捕されている。2008年12月、世界金融危機による派遣切りにより、茨城県常総市にある雇用促進住宅に移り住む。ここでは家賃滞納や騒音の問題を頻繁に起こしており、電気も止められていた。2012年6月19日、住居の壁に穴を開け、ガラスを割るなどして暴れ、翌日未明に坂東市においてコンビニエンスストアで強盗事件を起こした後、警察に出頭し、逮捕された。その際、「仕事上で理不尽な扱いを受けるなどして、社会で暮らしていくことに嫌気が差した」と供述している。同年9月、強盗及び銃刀法違反により懲役3年6月の実刑判決を受ける。2016年初めに出所し、浦和区にある更生保護施設で過ごした後、同年7月から見沼区のアパートに入居し、生活保護を受けながら暮らしていたが、そこでも騒音などの問題を度々起こしていた。

事件前後

  • 7月14日
    夜 – 隣室の住人と騒音を巡って衝突し、「殺すぞ」「こっちはもう余裕ねえんだからな」と叫ぶ
  • 7月15日
    新幹線にて京都市に到着
    午後 – 京都アニメーション本社及び第2スタジオ近くの路上を歩く
    夜 – 京都市内のホテルに本名を名乗って宿泊
  • 7月16日
    10時31分から12時34分までJR京都駅のインターネットカフェに滞在、その際に運転免許証を提示
    午後 – 宇治駅周辺に移動
    夜 – 京都市内のホテルに本名を名乗って宿泊
  • 7月17日
    午前 – 現場から南へ6kmのホームセンターでガソリン携行缶や台車を購入
    午後 – 台車を押して本社・黄檗駅付近を歩く
    夜 – 現場から500メートルの公園で野宿
    上記の経路は、いずれも「響け! ユーフォニアム」の聖地とされる箇所である。入り組んだ通路であるため、土地勘がなければ立ち寄りが困難であるが、男は地図やスマートフォンを持っていなかった。

行政の動き

原因の調査

京都市は緊急検証対策チームを設置し、建物内の螺旋階段が火の回りを早くした可能性もあるとして、市内の防火対象物(防火・準防火地域以外の建物も含む)の螺旋階段の実態把握と防火指導に取り組むことを決定した。

再発防止への対策

消防庁および警察庁は、ガソリンを容器で販売する際の販売記録を残す方針となり、7月25日に消防庁から各都道府県の防災部署、消防機関のほか、石油の精製や元売りの業界団体である石油連盟や、ガソリンスタンドの業界団体である全国石油商業組合連合会宛てに通達が、警察庁生活安全局から警視庁・各道府県警察等宛に事務連絡が行われた。

捜査

京都府警察刑事部捜査第一課・伏見警察署は現住建造物等放火・殺人事件として本事件の捜査を開始し、事件翌日の19日には京都府警察学校(伏見区)に100人体勢の捜査本部を設置した。捜査本部とは別に約100人が被害者支援班として遺族らの支援に当たっていたが、その後の被害の拡大などに対応するため、捜査本部の7、8割の人員も被害者支援に対応している。

また、京都府警本部は同日に身柄を確保された男の氏名を被疑者として公表した。京都新聞は「被疑者の男は全身火傷で意識不明・重篤な状態だが、京都府警は事案の重大性に鑑みて実名公表に踏み切った。今後、回復を待って逮捕する方針だ」と報道している。また、男はまず京都市内の病院に搬送された後、2019年7月20日に大阪府内の病院(移送先病院名は非公表)へ移送された。同日、京都府警捜査本部は殺人・現住建造物等放火の罪状で男の逮捕状を取得した。その後、2019年8月8日に、負傷者ら35人の殺害未遂容疑を追加した上で男の逮捕状を取り直したことを、8月14日に京都府警が発表した。

事件直後の7月20日、同社社長八田英明は男とは過去に直接のトラブルはなく、同社主催の「京都アニメーション大賞」への応募もなかったため、一切の関わりがないと話していた。しかし7月30日に同社の代理人弁護士桶田大介は、改めて確認したところ同姓同名で同住所の人物から小説が応募されていたことが分かったと発表し、応募の内容は明らかにしないとしたうえで「1次審査を通過していない」「これまで制作された弊社作品との間に、同一または類似の点はないと確信している」と語った。8月26日、男による京都アニメーション大賞への複数の小説の応募を警察が断定したと報じられた。

不祥事

2019年7月下旬に、京都府警が犠牲者の遺体を遺族に返還する際、犠牲者が身に着けていた腕時計が無いことが判明し、遺族に謝罪していたことが、8月16日に判明した。

犠牲者の実名報道

遺体の損傷が激しく、全員のDNA型鑑定が必要な他、対面確認時の家族らの精神的ショックなどに配慮し、京都府警が手続きを慎重に進めたため、身元特定は難航したが、2019年7月25日、京都府警は死亡した34人全員の身元を特定したと発表。すでに遺族に対する遺体の引き渡しが始まっており、警察は身元の公表時期や方法について京都アニメーション側と協議していた。7月27日に更に1人が死亡した。

その後、8月2日に遺族と実名報道の了承が得られた10名の氏名を公表した。なお、公表直後に遺族の1人より京都府警を通して匿名への変更を希望する申し出があり、NHKやフジテレビは該当の犠牲者の実名報道を控えた。一方、翌日の全ての全国紙は実名報道に踏み切り、中日新聞・産経新聞・日本経済新聞・スポーツニッポン(共同通信社)は遺族の申し出の存在に言及しつつ、実名報道の原則を掲げている。なお、上記発表が行われた8月2日、共同通信社大阪社会部はTwitterにて「京都アニメーションの事件でお亡くなりになった方のご家族や親友の皆様へ」と題したツイートを投稿し、犠牲者についての情報提供を広く呼びかけたため、賛否両論が巻き起こった。

なお、この事件の犠牲者の実名報道については、警察庁が京都府警に遺族の同意を得るよう指示し、それを受けて府警は取材の可否や窓口の有無をマスメディアに通達したと報道されている。その一方で、一部の新聞社は警察が公表する前に、独自に把握した犠牲者の情報を報道していた。8月20日、京都府警が公表を控えていた被害者の身元について、在洛新聞放送編集責任者会議から「事件の全体像が分からない」との懸念を踏まえ、「過去の事件に比べても極めて異例」として速やかな公表を求める申し入れ書が提出され、先例を作らないよう要請された。

8月27日、京都府警は氏名未公表だった25人の犠牲者について、全員の葬儀が終わったことにより公表に踏み切った。同時に、京都府警は25人中20人については遺族が公表に難色を示したり拒否したりしたと発表した。一方で、遺族の一部は「そのような(公表を拒否するような)発言はしておらず、公表に前向きである。」と府警の発言を否定するコメントを出している。公表された当日のテレビ局、及び翌日の全国紙は全て実名報道を行った。各報道機関は、次のような声明を出している。

【実名報道についての考え】
NHKは、事件の重大性や命の重さを正確に伝え社会の教訓とするため、被害者の方の実名を報道することが必要だと考えています。 そのうえで、遺族の方の思いに十分配慮をして取材と放送にあたっていきます。

—NHK NEWS WEB(2019年8月27日)、https://web.archive.org/web/20190828004012/https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20190827/2000019540.html

朝日新聞は事件報道に際して実名で報じることを原則としています。犠牲者の方々のプライバシーに配慮しながらも、お一人お一人の尊い命が奪われた重い現実を共有するためには、実名による報道が必要だと考えています。

—朝日新聞(2019年8月27日)、https://www.asahi.com/articles/DA3S14155243.html

おことわり
毎日新聞は、事件や事故の犠牲者について実名での報道を原則としています。亡くなった方々の氏名を含め正確な事実を報じることが、事件の全貌を社会が共有するための出発点として必要だと考えます。遺族の皆様への取材に関しては、そのご意向に十分配慮し、節度を守ります。

—毎日新聞(2019年8月27日)、https://mainichi.jp/articles/20190827/k00/00m/040/131000c

実名だから 悲しみ共有
(一部抜粋)産経新聞は不条理な形で肉親を奪われた遺族の悲嘆を深く受け止めます。一方で性別と年齢だけでは失った存在の大きさを伝えられません。優れた作品を世に送り出した一人一人が刻んだ人生を実名によって伝えることこそが、悲しみを社会で共有し、卑劣な犯罪を検証して、再発防止につながる道になると考えます。

—産経新聞(2019年8月28日朝刊28面)

お断り
(一部抜粋)日本経済新聞は殺人など重大事件の報道で、尊い命が失われた重い現実を社会全体で共有し、検証や再発防止につなげるために犠牲者を原則実名報道としています。今回も事件の重大性を考慮し、実名で報じる必要があると判断しました。

—日本経済新聞(2019年8月28日朝刊40面)

ご遺族と、実名に反対している京都アニメーション側の意向を丁寧に聞き取りつつ、葬儀の実施状況などをみて広報の方法と時期を慎重に進めた結果だ。
(理解が得られたかは)人それぞれだが、丁寧に説明を尽くした。(臆測が飛び交うなど)匿名によるデメリットも考慮した。

—京都府警・西山亮二捜査1課長、https://mainichi.jp/articles/20190827/k00/00m/040/232000c

多くの遺族の反対を押し切って実名報道に踏み切ったことには、SNSなどで議論を呼んだ。一方で、時事通信・共同通信・日刊スポーツなど一部の報道機関は実名報道を見合わせた。なお、一部の遺族は、夜中に帰宅した際に強引にテレビ局から取材を申し込まれた、撮影のために勝手に遺影や遺骨を動かされたといった報道被害を訴えている。10月3日、19社の東京都所在の報道各社で構成される在京社会部長会は、今後は速やかに被害者の実名を公表するよう警察庁に対し申し入れを行った。

影響

京都アニメーションが制作を行っているアニメ『Free!』の製作委員会は、2020年夏に公開予定の新作劇場版に関する続報公開を中止した。同じく京都アニメーションが制作を行っているアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の製作委員会は、2020年1月10日に世界同時公開予定だった劇場版の公開を延期することを9月6日に発表した。なお、同日から公開が始まった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』は事件の前日に完成しており、当初は2週間限定公開の予定が3週間限定公開の延長し、上映館数も予定より増えることとなった。京都アニメーションでは1年以上の経験を有しないスタッフはエンドロールにクレジットしない方針をとっていたが、同作では監督の藤田春香の希望により、制作参加の全スタッフの名前がクレジットされることとなった。なお、結果として事件の被害者を含むスタッフがクレジットされることになるが、特掲等を行うものではない。

また、京都アニメーションは直営の実地店舗「京アニ&Doショップ!」の営業を停止しているほか、通販サイト「京アニショップ!」でも一部営業を停止している。11月3日・4日に開催予定の第4回ファン感謝イベント「私たちは、いま!! ―2年ぶりのお祭りです―」の「届け!京アニ&Doのいろいろ編」についてはステージイベントを全て中止し、一から内容の見直しを行うことになり、8月14日より入場チケットの受け付けを一時停止した。同日には、事件への対応のため担当者を確保できないことから、第11回京都アニメーション大賞の作品募集も一時停止された。

京阪電気鉄道は7月20日から開催予定だった『響け! ユーフォニアム』とのコラボレーション企画を延期すると発表した。

アニメ『炎炎ノ消防隊』や『BEM』、ドラマ『監察医 朝顔』といったテレビ放送作品で、放送が一部延期された。

日本赤十字社京都府赤十字血液センターは、献血によって提供された血液在庫が減少してたことから、献血の協力を呼びかけた。

宇治市は、8月3日に宇治市源氏物語ミュージアムで開かれる予定であった新作アニメの完成記念トークショーについて、登壇予定であった監督とプロデューサーの精神的なショックが大きく出演できる状態ではないとして中止した。

容器での販売自体を自粛する方針を固めたガソリンスタンド運営会社が相次いだ。その影響でスピードスプレーヤーや刈払機などといった携行缶給油が欠かせない機器を扱う農家らに負担がかかっており、配慮を求める声が挙がっている。