初代ミリオンゴッド

2019年11月

最悪の「社会不適合機」。一日で10万、20万負けが当たり前の最凶ギャンブルマシン。

ミリオンゴッドは、株式会社ミズホ(ユニバーサルエンターテイメントの子会社)から2002年に発売された回胴式遊技機(パチスロ)です。

本来であれば、パチスロ機は一般財団法人保安通信協会(通称:保通協)によって、遊技機が規定上の条件を満たしているかどうかを試験されて一般市場に流通します。そのため、「1日で数十万勝てる」ような著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機は通常ならば発売に至らないのですが、保通協の試験をかいくぐってしまった(後述)ことにより、この「ミリオンゴッド」は世に出てしまいました。

本機はその凶悪なまでのギャンブル性から、多額の借金を抱える人もおり、借金を苦にした自殺者まで出してしまったのです。

本記事では、そんな最凶マシン「ミリオンゴッド」について、スロットを触ったことが無い方にもわかるように紹介してみようと思います。

※ミリオンゴッドのヤバさを伝える記事なので、細かいツッコミは勘弁してくださいませ。。。

そもそもスロットってどんな仕組みなの?

簡単に言えば「ただのくじ引き」だと思ってください。

スロットは「メダル(コイン)」を入れ、「スタートレバー」を叩いた瞬間に抽選(くじ引き)を受けることができます。

この「メダル」は、お店から1枚20円で借りることができ、通常3枚のメダル(60円)を入れることで、1回の抽選を受けることができます。
※メダルを1枚5円で借りられる場合には「5スロ」などと呼ばれますが、やはり「20スロ(1枚20円)」が一般的です。

また、抽選の結果は「リール」によって知ることができます。
左・中・右のボタンを押すことで、抽選結果にしたがった図柄がそろうようになっています。

※ちなみに、このボタンを押す順番について、左・中・右と順に押すことを「順押し、反対に右・中・左と順に押すことを「逆押し」と呼びます。

スロットはただのくじ引きですが、そうなると「どれくらいのくじがはいっていて」その中に「どれだけ当たりが入っているか」が気になりますよね。
次項では、その「抽選(くじ引き)」の仕組みについて触れていきます。

抽選って何よ。

スロットでは、(機種によって異なりますが)一般的にくじが約6万5000個(65,536個)入っていると考えて下さい。

その6万5000個のくじの中には当然、「ハズレ」くじと「当たり」くじが入っています。
この当たりくじには、商店街のくじ引きのように、1等、2等、特賞…といった具合に様々な種類があり、「リプレイ(もう一度抽選できる)」「ベル(15枚もらえる)」「ボーナス(いわゆる大当たり。たくさんメダルがもらえる)」といったものがありますが、詳細は後程…ということでここでは割愛します。

重要なのはこの「当たりくじの数」が、「内部モード」によって変化するということです。

ミリオンゴッドの「内部モード」って?

ミリオンゴッドの「内部モード」は、次のように4つあります。

  • 地獄モード(大当たりくじが"極々少数"しか入っていない状態)
  • 通常モード(大当たりが少しだけ入っている)
  • ストックモード(大当たりが少しだけ入っている。ただし、大当たりを引いても"すぐには教えてくれない(ストック)")
  • 天国モード(大当たりくじがたくさん(通常モードの10倍!)入っている)

ミリオンゴッドでは、この4つのモードを行ったり来たりして抽選を行います。

もちろん目指すは「天国モード」ですが、この天国モードこそ「地獄のような中毒性」を生む元凶となります。

「天国モード」に移行するためには、基本的に「地獄モード」を経由する場合がほとんど。
しかも、モード移行の抽選は約910分の1の確率で行われず、その上、天国モードに移行する確率は約20%しかありません。

ミリオンゴッドは1000円で約20回程度の抽選しか受けられないので、それこそ地獄のようなスピードでお金が減っていきます

しかしひとたび「天国モード」になってしまえば、当たりくじが頻繁に引けるため、5000枚~2万枚という大量のメダルを獲得できる可能性があります。
メダルが1枚20円ですので、これは…

10万円~40万円分のメダルが獲得できてしまう!

ということになります。
場合によっては5万枚=100万円(ミリオン)も夢じゃない…というのが、本機の名前の由来となっており、
こうなると、10万、20万円という大金をかける人がたくさんいたというのも分かっていただけるかと思います。

本当なら、このような「ギャンブル性の高い=射幸心を煽る」機種は保通協の試験を通るはずがないのですが…

なぜこんな凶悪ギャンブルマシンが検定を通過したのか

当時は規制そのものも現在と比べて甘かったというのもありますが、何よりもそのチェック方法に問題がありました。

現行の試験では「最もメダルが多く獲得できる(機械割が一番高くなる)方法でチェックする」方式が採用されていますが、当時は「指定された押し順でチェックする」方式が採用されていました。

なんと、このミリオンゴッドには「順押しをしないとペナルティ(以降数回、抽選を受けられなくなる)が与えられる」という仕様があるのです。
※後述のGG(ゴッドゲーム)中は除く。

察しのいい方はもうお分かりかと思いますが、このミリオンゴッドの試験時に指定された押し順は「逆押し」でした。

当然、試験時にはペナルティを受けまくり、「爆発的なメダル獲得には程遠い普通のスロット」として試験をかいくぐってしまったのです。
※出荷時の機械では、ペナルティを受けた際には液晶画面に告知がされます。そのため、試験の際には「液晶を外して」試験を受けたという噂もあります。真偽のほどは不明ですが。

目指す大当たりのひとつ「GG(ゴッドゲーム)」

閑話休題。

大当たりの一つであるのが、このGG(ゴッドゲーム)で、基本的に液晶画面で7以外の奇数が揃うと突入します。
このGGは内部モードによって当たりやすさが変わります。「地獄モード」では、このGGに当選しません。

GG中は、押し順が液晶画面で指定され、画面の指定順どおりにボタンを押すことで15枚のメダルが獲得できる黄7(および再抽選を受けられる青7)が揃えられ、メダルが増えていきます
※ただし、先述の通りペナルティが存在するので、当選条件は「押し順を厳守し、ペナルティの無い状態」が前提です。

このGGは1セット50ゲームとなっていて、1回抽選を受けるごとに約10枚ずつメダルが増えるようにプログラムされています。
つまり、GGのゲーム数×約10枚が獲得枚数となる計算で、1セット(50ゲーム)であれば50×10枚なので約500枚(=1万円)の獲得が見込めます。

さらにこのGGには上位の大当たりが存在し、それがSGG(スーパーゴッドゲーム)とPGG(プレミアムゴッドゲーム)です。

中でも、このPGG(プレミアムゴッドゲーム)は、本機ミリオンゴッド代名詞となっており、文句なしの最強の大当たりとなっています。

PGG(プレミアムゴッドゲーム)とは。

リールにGODの図柄が揃った状態。「GOD揃い」と呼ばれる。

本機の代名詞であり、最強の大当たりです。
8192分の1でGOD揃い(上図)を引くと発動し、なんとGGが10セット確定します。

10セット=500ゲームなので、1ゲーム約10枚のメダルが増えるとすると…

5000枚(=10万円)の獲得が見込めてしまうのです。

このPGGは後継機にも必ず引き継がれており、「GODといえばコレ」という大当たりとなっています。

自殺者も出るほどの射幸性で社会問題へ発展

ミリオンゴッドに限ったことではないが、この時代は5万枚以上(100万円)という大量出玉も日常的に目撃されました。

まさしく、ミリオン(100万)ゴッドの名にふさわしい一方で、それだけ夢を買えるということは、それ以上に負けることの方が多かったというのが必然の現実でした。

1日に20万円以上の負けは日常茶飯事で、当時は消費者ローンの借入限度額が設定されていなかったことも相まって、ATMや街金はGOD打ちたさのギャンブル中毒者で溢れることとなってしまいました。

その結果、借金を苦に自殺した人たちも多くいたという話です。

当然これは社会問題となり、パチスロに対する規制は強化されることになりました。そして、2003年10月に「射幸心を煽る危険な遊技機(=社会不適合機)」として検定取り消しになり、初代ミリオンゴッドはその姿を消しました。