近畿財務局元職員・赤木俊夫さん自殺事件

「すべて、佐川理財局長の指示です。」公文書改ざんを指示された職員が、告発文書を残し自殺

学校法人「森友学園」を巡る公文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局元職員の妻が、国と当時の財務省理財局長・佐川宣寿氏に損害賠償を求めている裁判が、2020年7月15日から始まる。

近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54歳)。その妻の雅子さんは夫が自ら命を絶つに至るまでの『真実』を知りたいと思い続けています。

「夫が亡くなった理由を知りたい、改ざんの経緯を知りたいので、裁判をしてもらうことにしました。」と、雅子さんは語っている。

事件の経緯と詳細

2017年、大阪府豊中市で小学校の開校を目指していた学校法人「森友学園」に対し、国有地が約8億円値引きされて売却されていたことが明らかになった。

2018年には、この売却に関する財務省の決裁文書14件で、安倍晋三首相の妻・昭恵氏の名前や事前の価格交渉をうかがわせる部分が削除されるなど、改ざんが行われたことが発覚。財務省は当時の理財局長だった佐川宣寿氏を懲戒処分にするなど計20人を処分しました。

この改ざん作業を命じられたのが俊夫さんだった。改ざん後、夫の表情は次第に変化していったと雅子さんは語る。

「改ざんの日を境に徐々に口数も減って、食欲もない感じで、冷や汗を垂らしているような、徐々に徐々に人間が壊れていくなという感じを横にいてすごく受けました。」

 身も心もすり減らし、追い詰められたとみられる俊夫さんは、改ざん発覚から5日後、自ら命を絶った。

「その日は玄関まで私を見送ってくれて、『ありがとう』と言ってくれたんです。結局その日の夕方4時ぐらいのメールに返事がなかったので、急いで帰ったら、もう亡くなっていた。」

 俊夫さんの死後、パソコンに残されていたのが、自殺する直前まで書いていた『手記』でした。

 俊夫さんの手記の一部を記しておく。

『元は、すべて、佐川理財局長の指示です。抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るのか、ずっと考えてきました。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。』

妻・雅子さんは「(手記を通じて俊夫さんは何を訴えたかった?という問いに対して)事実を明らかにしてほしいと夫も思っていたと思うし、自分がまず(手記)できっかけを作りたかったんだと思います。」と語る。

そして2020年3月、雅子さんは「夫の自殺は改ざんを強制されたことが原因」として、国と当時の理財局長・佐川氏に慰謝料など1億1000万円余りの賠償を求めて提訴した。さらに、雅子さんは国に対し、第三者委員会による再調査を求めて約35万筆の署名を集め、今年6月に国に提出している。

しかし、安倍首相らは再調査には応じていない。

「改めてご冥福をお祈り致します。財務省においては麻生大臣のもとで事実を徹底的に調査し、明らかにした。」(安倍晋三首相)
「再調査ということに関しては、今行うことは考えておりません。」(麻生太郎財務相)

再調査に応じない国に対し、引き続き調査を求めていくという雅子さん。2020年7月15日から始まる裁判では、真実を知りたいとの思いで意見陳述に臨むという。

雅子さんは裁判にあたり「率直に言うと、2人(安倍首相と麻生財務相)は逃げているんじゃないかなと思います。自分たちも調査されると不都合なことがあるのかなと。夫が改ざんしたことは悪いことだと理解できているし、もっと嫌なことが明るみになるかもしれないんですけど、それは私も受け止めるので、ぜひ本当の事を(国と佐川氏には)話してほしいと思います。」と話している。

なお、手記の全文については、以下の『週刊文春 2020年 3/26 号』で確認することができる。