西尾健司さん16歳の指導死

自宅付近のマンション13階から飛び降り自殺。

2002年3月23日未明、進学校の兵庫県立伊丹高1年生、西尾健司さん(当時16歳)は、自宅近くのマンション屋上から身を投げた。校内のトイレで喫煙が見つかり、校長室で5人の教師から「特別指導」を受けてから9時間後のことだった。

 「君は親も教師も裏切った。人を裏切ることが一番悪いことや」「1年に2度も処分を受けるなんてわが校始まって以来の不祥事」

 同席を求められた母裕美さん(59)の前で、直立不動の健司さんを校長や学年主任らは厳しく叱責した。前年12月に続き2度目の特別指導無期家庭謹慎を言い渡された。裕美さんが涙ぐむと、健司さんのすすり泣きが聞こえた。

 前年12月の特別指導は期末試験での出来事だった。級友に答案を見せたことがカンニングと認定され、8教科が0点。7日間の家庭謹慎を受け、3学期が終わるまで反省日記を提出することが課された。

 健司さんは仲の良かった弟に冷たく当たったり、物思いにふけったりするようなことが多くなっていったという。

 1月の終わりごろから家でたばこを吸うようになった。学校で喫煙が見つかった直後の反省文には「ストレスがたまっていて、吸ったら、それが少し和らぐかと思った」と書き、その後、命を絶った。

 裕美さんは、自分の涙が息子を苦しめたのではと悔いる一方で、「軍隊のような高圧的な指導」は間違っていると話す。「子どもなんて、周りが勝手にしている期待を、裏切って裏切って成長していくもの」だと思うからだ。

どうすれば誰も亡くならずに済んだのでしょうか。