大口病院連続点滴中毒死事件

2019年10月

末期医療の現場で起きた連続殺人。

大口(おおぐち)病院連続点滴中毒死事件とは、神奈川県横浜市神奈川区の大口病院(当時、現・横浜はじめ病院)で2016年(平成28年)9月に発覚し、2018年(平成30年)7月、同病院で当時勤務していた看護師が逮捕された連続殺人事件。事件の名称について、神奈川県警察は「大口病院"入院患者殺人事件"」、神奈川新聞は「大口病院"点滴連続殺人事件"」としている。

被害者として立件された死亡者2人のほか、同時期に死亡していた別の2人の入院患者の遺体からもヂアミトールが検出された。事件前の7〜9月の82日間で48人の患者が死亡し、その後の約70日間の間は死亡者がゼロということから、4人以上の被害人数が疑われたが、発覚以前の死亡者は医師の診断により“自然死”扱いで火葬されていたため、既に証拠は失われていた。

事件概要

神奈川県横浜市神奈川区大口病院に勤務していた看護師(以下、Aといいます)が、2016年(平成28年)9月15日から同月20日までの間、同病院で、入院していた高齢男女(以下、V 1、V2、V3といいます)の点滴にデアミトール(手術室、病室などに置かれている消毒液)を混入し、他の看護師Bにその点滴を投与させてV1ら3名を中毒死させて殺害しました(Bはデア ミトロールが混入されていることを知らないため罪には問われていません)。また、Aは 、V1、V2、V3以外の入院患者5人(以下、V4らといいます)の点滴にもデアミトールを混入して います(中毒死までには至っていません)。  

犯行動機

Aは犯行を認めています。Aは、「自分の勤務時に患者に死なれると、家族への説明が面倒だった。」「患者が亡くなったときに同僚から自分の落ち度を指摘されたことがあり、それ以来、勤務時間外に死亡させることを考えるようになった。」、「勤務を交代する看護師との引き継ぎの時間帯に混入させていた。」などと話しているようです。

また、他にも原因があるようです。

病院は、医師と看護師、看護師同士、病院側と患者やそのご家族など様々な人間関係が錯綜する場所。大口病院内では、事件前から、「白衣が切り裂かれる」、「看護師のカルテが紛失する」「ペットボトル飲料を飲んだ看護師スタッフの唇がただれる」などの看護師同士のトラブルが報告されていました。看護師に対する不透明な人定査定、不公平な仕事の割り振りなどが看護者同士のトラブルを誘発。

Aの同僚看護師に対する怒りや妬みが、Aに殺人という凶悪犯行に走らせたとも言われています。今回の事件では、点滴にデアミトールを混入したのはAでしたが、実際、患者に点滴をしたのは同僚患者でした。これからすると、Aは同僚患者に罪を擦り付けようとしたのでは、とも推察されています。

事件発覚・逮捕から起訴へ

V2に点滴を投与した同僚看護師が偶然にも点滴袋をベットに落とし、袋内の輸液が急に泡立ったことから点滴内への異物混入が疑われ、その後の検査でデアミトールの混入が明らかになったことが本事件の発覚の端緒となりました。

デアミトールが主として病院内で使われるものであったこから病院関係者による犯行であることが疑われました。

デアミトールは病院内の各所に置かれており、当初犯人の特定は難航しました。しかし、Aの看護服(ポケット)からのみデアミトールが検出されたこと、被害者の病室に一人で入っていくAが目撃され、その直後に患者の容体が急変したことなどの状況証拠のほか、Aが任意の事情聴取で犯行を認めたことから2018年7月7日に殺人罪で逮捕されています。

そして、Aは、同年12月7日、V1ら3名に対する殺人罪、V4らに対する殺人予備罪で起訴されています。

裁判は横浜地方裁判所で開かれる予定です。