大阪愛犬家連続失踪殺人事件

筋弛緩剤「サクシン」から始まる連続殺人

大阪府の上田宜範(39歳)はかかりつけの獣医師が子犬に筋弛緩剤「サクシン」を注射して安楽死させているのを見て興味を持ち、獣医師から口実をもうけて筋弛緩剤を入手した。

その後、旧友の男性と散歩中に偶然再会するが、口論などのトラブルになり筋弛緩剤を注射して殺害する。

他にも1992年から1993年にかけて出資上のトラブルから計4人の男女を筋弛緩剤で殺害し、遺体を訓練所の敷地内に遺棄した。

失踪者の共通点が愛犬家であることから、上田が捜査線上に浮上。

殺人・死体遺棄の罪で逮捕され、死刑判決を受ける。

犯行の経緯や動機

【1人目】
瀬戸博さん(23歳)は上田が1992年1月までアルバイトをしていた物流会社の同僚であり、仕事で衝突した経験があった。
同年5月、犬の散歩中に偶然出会い、殴り合い寸前の喧嘩になる。
6月下旬、上田は瀬戸さんを電話で阪和線三国ヶ岡駅近くに呼び出し、車に乗せた。
下痢を訴える瀬戸さんに下痢止めと称して睡眠薬を飲ませ、借りていた長野県塩尻市内の農地で筋弛緩剤を注射して殺害。
遺体を敷地内に遺棄した。

【2人目】
藤原三平さん(33歳)は、前妻が犬の雑誌の文通欄で上田と知り合ったことが縁で親しくなった。
上田は夫妻にペットショップ共同経営をもちかけ、開業資金として300万円の援助を約束した。
しかし催促されるようになるようになり、殺害を決意する。
同年7月26日に塩尻市に向かう車中で睡眠薬を飲ませ、筋弛緩剤を注射して殺害した。

【3人目】
瀬戸さんと同じく物流会社のアルバイト先で出会った柏井耕さん(20歳)へ、犬の繁殖所や訓練所を手伝わないかと持ち掛け、塩尻市の農地の整地作業をさせた。
しかしアルバイト料の支払を求められ、7月30日に殺害して遺棄した。

【4人目】
上田は高橋サチ子さん(47歳)に共同経営をもちかけ、犬の仕入れ代金として貴金属や現金50万円を受け取った。
その後高橋さんに、私を騙したら犬の仕事ができなくなると詰め寄られる。
10月26日頃、自宅で高橋さんを毒殺。
遺体を金属製ロッカーに入れ、自分のトラックの荷台にロッカーを隠す。

【5人目】
高橋さん殺害の3日後に堺市の主婦・を殺害。
散歩中に知り合った志治信子さん(47歳)に訓練所や繁殖施設の共同経営を持ち掛け、1000万円を受け取る。
しかし志治さんは繁殖場の計画がいっこうに進んでいないことを知り、上田へ詰め寄る。
殺意を覚えた上田は志治さんをトラックに乗せ睡眠薬を飲ませるが、途中で目を覚まし、遺体の入っているロッカーを発見。
異臭がすると騒がれた上田は筋弛緩剤を注射して殺害した。

判決とその後

1994年8月31日、上田に筋弛緩剤を渡した大阪市住吉区の獣医(当時47歳)が罰金50万円の命令を受けた。

公判で上田は、自白は暴力により強要されたものだと無罪を訴えるが、1998年3月20日、大阪地裁で死刑判決。控訴するが棄却される。さらに上告をするが棄却され、死刑が確定した。

現在大阪拘置所に収監されている。

さらに上田は、一連の事件より2年前に静岡のパチンコ店の店員である北原豊仁さん(18)を絞殺したと自供した。

しかし遺体は見つからず、上田が自供を翻したため立件に至っていない。