北海道・白石区姉妹孤立死事件

区役所が生活保護支給を拒否。必死の懇願は受け付けられず、国民の権利はどこに。

2012年1月20日、生活保護を受けられなかったために、北海道白石区にあるマンションから、2人の姉妹が遺体で発見された事件である。

事件の経緯と詳細

2012年1月20日、北海道白石区にあるマンションの一室で佐野湖未枝さん(当時42歳)と妹の恵さん(当時40歳)の2人が遺体で発見された。

2人が住んでいたとされる部屋には、暖房器具が無く、冷蔵庫も何も入っていない状態だった。また、2人が発見された当時、電気もガスも止められていた。

姉はフリースやジャンパーなどを何枚も着込み、寝室のベッド近くに仰向けで倒れており、妹はパジャマを着て、寝室のベッドで布団を半分かけた状態で横たわっていた。

司法解剖の結果、2人は前年12月下旬から、1月上旬に相次いで志望していることが発覚。死因は、姉が脳内出血で、妹が凍死だった。発見時、2人は悲惨な状態で、姉は顎が外れ、妹は体重が激減していた。妹の身長は158センチで健康時に64キログラムあったのが、36キログラムまで減っていた。

2人の両親は既に他界しており、他に頼る人がいなかった。姉は障害のある妹の世話をするために一緒に暮らすが、体調不良による失業中で、2人の収入は、妹の障害年金(年間約80万円)のみだった。そのため、家賃は滞納し、国民健康保険も未加入。2人は最後の頼みとして、窮状を訴えるために3回にわたり白石区市役所を訪れていた。

北海道の12月、1月は暖房器具無しでの寒さは想像もできない。お金も電気やガス、食べるものでさえも無かったため、生活保護を受けるために区役所を訪れたにも関わらず、区役所は2人に対し支給する事はなかった。

区役所の言い訳

生活保護は、困っている人なら一定の条件で、無差別平等に生活保護を受ける権利があり、誰でも無条件に申請は可能だ。

しかし、2人が現状を訴える中、区役所からは、支給の条件として「就職活動の有無」や「2人で住んでいる部屋の家賃が高い」といった指摘を受けた。そのことから、「自分たちが申請しても生活保護は受けられない」と思い込まされてしまい、結果的に申請をすることができなかった。

本来、国民の権利である生活保護の申請を様々な手口で阻止しようとした役所。

役所は、本来では支給することのない非常用のパンの缶詰を姉妹に支給するなど、2人の状況について気付いていたはずなのにも関わらず、亡くなる間際まで生活保護窓口を訪れていた姉妹を門前払いをしていた。

事件後、白石区役所は「本人達が申請の意思を示さなかった」と弁解しているが、状況を考えると、厳しい言い訳だった。

姉が倒れた後、妹は警察や救急車に助けを求めようと111番に何度も電話をかけた記録が残っていた。しかし、番号違いで、その電話がつながる事はなかった。

類似事件

北九州門司事件(門司餓死事件)

福岡県北九州市では2006年4月から5月にかけて3名が命を落としている。

1件目は4月21日、78歳の母親と49歳の長女が死亡。2件目は5月24日、息子にこれ以上支援はできないと言われた56歳の男性が死亡。

亡くなる前年にライフラインが止められており、病院に運ばれたこともあったが市は生活保護の申請を却下し、息子に頼るよう求めた。北九州市保護課では「数値目標」を決め件数を抑えていたそうだ。

おにぎり事件

2007年7月、元タクシー運転手の52歳の男性が生活保護を打ち切られ死亡した事件。

2007年7月10日、北九州市小倉北区の独り暮らしの男性(52歳)が自宅で亡くなっているのが発見された。

男性は生活保護を受けていたが、2007年4月に受給廃止になっており、最後に「おにぎり食べたい」と書き残していた。また、彼が残した日記には、「(生活保護の)辞退届を書かされ、印まで押させられた」ことが書かれていた。

最後に

他にも、2006年7月には秋田で37歳男性が死亡、2009年6月には北九州市で39歳の男性が死亡している。

「生活保護が自治体の財政を圧迫する」として、受給を審査するのは難しい一面があると感じる方も多いとは思うが、実際にはその総額は財政全体の、わずか0.38パーセントである。

不正受給があることも事実であり、必要な人とそうでない人をしっかり見極める必要があることには納得できるが、あまりに審査を厳しくするあまりに、本当に必要な人の権利が侵害されてしまっては本末転倒である。