JR東京駅・コンビニ店長刺殺事件

万引きを注意された逆恨みから、コンビニ店長を刺殺

2002年7月21日朝、東京駅構内にあるコンビニエンスストア「サンディーヌエクスプレス東京センター店」において万引きをした男O(当時34歳)を捕まえようとして、同店の店長・桶田順彦さん(当時33歳)が刺殺された。2日後、Oは弟に付き添われ立川署に出頭する。

犯行の経緯と動機

2002年7月21日午前6時50分ごろ、東京駅構内にあるコンビニエンスストア「サンディーヌエクスプレス東京センター店」において、パンとおにぎりなど4点、計550円相当の品を万引きしたのを店員が発見。

話を聞こうとするが、Oは逃走する。すぐに店長である桶田さんがOを必死に追いかけた。店から80m離れた新幹線中央乗り換え口付近で二人はもみ合いになり、Oは桶田さんの右腹を持っていた果物ナイフで刺した。

桶田さんは刺された後も逃げるOを150m追跡、JR総武線の乗り場がある地下通路の階段付近で力尽き呻き声をあげながら、倒れた。

桶田さんは88年5月、JR東日本子会社「日本レストランエンタプライズ」に入社。事件のあった年の3月、以前に万引きを注意された女性が、逆恨みで同店のパンに針を混入させた。桶田さんは女の顔を覚えており、翌月の逮捕に貢献していた。

Oについて

1968年、東京・府中市出身。弟がいるが、兄弟は家庭の事情で別々に育てられている。

1996年、結婚。子供も2人生まれたが、2001年3月に離婚。その後、定職に就かず、荷物は駅のロッカーに保管し、ホームレス生活を送るようになった。

同年12月、窃盗事件で執行猶予の判決を受けている。

事件を起こした年の4月まで水道配管工の仕事をしていた。事件のあった「サンディーヌ 東京センター店」ではそれまでに数回万引きをしていた。

桶田さん刺殺後、Oは中央線に乗りこみ八王子に向かった。同市のゲームセンターのトイレでばれないようにヒゲを剃り、桶田さん刺殺に使ったナイフはゴミ集積所に捨てた。その後、肉親に電話をかけたところ、「自首しなさい」と言われる。

Oの弟はニュース番組の防犯ビデオの映像をみて「兄に間違いない」と思っていた。その後、Oから電話がありJR立川駅で待ち合わせた。

Oは桶田さんが亡くなったことを知って、「大変なことをしてしまった」と絶句して、涙を流した。弟にうながされて自首を決意する。自首する前の2時間、それまでは会っても挨拶程度しか言葉を交わさなかった兄弟は、車中で食事を摂りながら初めて親密な会話をしたという。逮捕前の最後の食事もコンビニのおにぎりだった。

判決とその後

2003年1月16日、東京地裁は無期懲役の求刑に対し、懲役15年を言い渡した。
 
同年11月7日、東京高裁で「計画的犯行でないことなどを過大評価し、『自首軽減』した一審判決は誤り」として、無期懲役を言い渡した。

2004年2月23日、最高裁は上告棄却、確定となった。

損害賠償請求

2006年2月13日、桶田さんの両親がOに対して行なった損害賠償請求の口頭弁論が東京地裁で開かれた。出廷したOは、「順彦さん本人や、遺族の方に大変申し訳ないことをした。一生かかって罪を償っていきたい」と話した。服役中の受刑者が、自身の訴訟で出廷するのは異例。