山口連続放火殺人事件

2020年07月

近隣トラブルが招いた惨劇。人口わずか14人の集落で起きた殺人事件。

つけびして 煙り喜ぶ 田舎者

2013年7月21日午後9時ごろ、山口県金峰の住民から「近所の家が燃えている」と119番通報があった。消防と警察が駆けつけたが、Sさん(71歳)宅とYさん(79歳)宅が全焼し、それぞれの住宅からSさんとその妻、Yさんの遺体が発見された。

周南警察署は放火の可能性も視野に入れて捜査を開始した。その後、翌22日11時半ごろにKさん(73歳)の遺体が自宅で発見され、正午ごろにはIさん(80歳)の遺体が自宅で発見された。

司法解剖の結果、5人の死因はいずれも頭部を鈍器で殴られたことによる頭がい骨骨折もしくは脳挫傷であった。

Kさんは21日夜に起きたYさん宅の火災時、近くの住宅に避難し、22日の午前1時過ぎまで鎮火を待った後、自宅へ向かった。火災現場からKさん宅までは徒歩で約15分程度の距離だったことから、犯人は21日午後9時前にSさんとその妻およびYさんを殺害し、2棟に放火するとともに、その後少なくとも4時間以上現場周辺に潜んだのちに、KさんとIさんを殺害したのだと考えられた。

火災発生時、県警が周辺住宅を安否確認に訪れた際、保見光成(63歳)は不在で行方が分からなくなっていた。県警は保見が何らかの情報を知っているものと判断して保見を捜索した。事件発生から6日目の26日午前9時ごろ、山道にて座っているところを発見された。その後、保見が犯行を供述したため、殺人・非現住宅建造物等放火の容疑で逮捕した。

地元住民によると、保見は東京で左官職人になったが40代にして両親の介護のために金峰に戻ったという。しかしその後、両親とは死別した。

この後から、保見と住民との間でトラブルが頻発するようになった。2011年1月、保見は地域のためにと町おこしを企画したが、住民から反対されたことや、草刈りをして苦情を言われたことなどから、周南署に「悪口を言われ、孤立している」と相談していたとのこと。事件前には、犬の散歩の際にすれ違っただけの住民を怒鳴りつけるまでの攻撃性を見せるようになってしまっていたという。

2015年7月25日、山口地裁は「被告の罪責は重大であり、極刑は免れない」として、死刑を言い渡した。弁護側は無罪を主張し広島高裁に即日控訴した。そして、2016年9月13日に控訴審判決が行われたが、広島高裁は被告の控訴を棄却した。19年現在は、最高裁に上告中である。

被告側は、保見が「周囲から嫌がらせを受けている」という妄想を抱えている「妄想性障害」であると主張し、責任能力の有無が焦点となった。しかし、1審、2審ともに「妄想は報復の動機を形成する過程に影響したとはいえるが、報復するかどうかについては被告が選択したことである」と、保見の完全責任能力を認めている。

2019年7月11日、死刑が確定した。